液晶の固体表面に対する配向のしくみや吸着挙動吸着挙動を解析する方法は、偏光顕微鏡や結晶回転法による観測が挙げられる。これらの方法では、固体表面での液晶の配向が液晶セル全体へ与える影響を観測方法です。これらの方法では固体表面での液晶の挙動を測定することは難しい。しかし、水晶振動子マイクロバランス(QCM)では固体表面での吸着物の重さと粘性を同時に計測することが出来ます。これを用いることによって液晶の固体表面での挙動を観測することが出来ます。これにより高分子表面に吸着した液晶の質量変化や粘性変化に伴う共振周波数変化と共振抵抗変化を測定し、液晶と高分子間の相互作用について研究を行なっています。
蒸着重合法とは真空蒸着を基に反応性の高い2つのモノマーを蒸発源より加熱蒸発させ、モノマー同士を基板上で重合、あるいは基板に到達する前に反応した気体が基板に蒸着することによって、基板に高分子被膜を作製するものです。蒸発源はシャッターにより交互に反応させるものや、同時に蒸発できるものがあります。
利点としては、単純な装置で高分子被膜を作製できること、無触媒で重合させることができ、真空中で行なうため不純物の混入が避けられる事、さらに分子配列の制御が可能であることなどの多くの点が挙げられます。
現在の液晶表示素子の大半に用いられているTN液晶素子は大きな透過光強度と高コントラストであることが知られている。一方、HTN液晶素子は、高速応答・低駆動電圧を実現した。しかし、これらの液晶素子は視野角が狭く、また、ラビング処理を施すため粉塵や静電気などが生じるなどの問題点がある。このような問題点を改善し、液晶セルを作製し、その特性評価を行なう研究をしています。
このように各種液晶ディスプレイについて様々な角度から検討して研究を行なっています。
近年、有機分子を用いた電子デバイスの研究がさかんに行われ、有機薄膜形成技術が重要な位置づけにあります。我々が行っている真空蒸着法を用いており、不純物の混入をおさえ、不溶不融の物質も薄膜を形成することができます。単純な長鎖構造をもったパラフィン、ステアリン酸などの薄膜形成過程を観測しています。観測手法として、高精度、非破壊でin-situ観測が可能な水晶振動子マイクロバランス法(QCM)を用いて蒸着挙動を観測しています。蒸着挙動から、基板上での分子配向、膜成長、付着分子の再蒸発過程などを検討しています。また、蒸着挙動と理論式をフィッティングすることにより、付着分子の吸着エネルギー、基板への平均滞在時間などの基礎パラメーターを見積もっています。